引用元: https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1129644145/


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104: 
雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ ID:xs4Dqd1i0
知り合いの話。

彼の実家は山奥の神社である。

神主職を継いではいないが、社の仕事はよく手伝っているそうだ。


秋祭りの際に神楽を奉納するのだが、その折に変わった仕事がある。

祭りの前に人形を何体か購入し、舞台袖の見えない所に置いておくのだ。

姿形は別に問わないが、手足が動く造りであることが大切であるらしい。

祭りが終わった翌日、人形は魂抜きをしてから燃すのだそうだ。


なぜこんなことをするのか聞いてみると、御山から下りてきた神様が人形に入って、神楽などの祭り行事を楽しむからだという。

だから人形に粗々がないよう、大事に扱うよう指示される。

気をつける点としては、あまり上手い出来の人形は選ばないこと。

神様が形を気に入ってしまうと、なかなか御山に帰ってくれないからだそうだ。

角があってもいけないらしい。神様とは別のモノが入ることがあるからとか。


そう言えば、と彼はつぶやいた。

俺、ガキの頃に社舞台で、小さな人影が踊っているのを見た記憶があるんだ。

何かの見間違えだと思ってこれまで忘れていたけど、今人形の話をしていて思い出した。

あれって神様が入っていたのかなぁ。


そうかもしれないなぁ。とりあえずそう返しておいた。


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144: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ ID:o1HO0FDC0
同僚の話。


地元の山で行方不明者が出た。

消防団に所属していた彼も、捜索に参加した。


同日の夕刻、残念ながら不明者は遺体で見つかった。

人が入らぬ森の外れで、大きな石の上にうつ伏せとなっていたらしい。

まるで石に抱きついてそのまま死んだように見えたという。


別の分団よりその知らせが届くと、年長の先輩が顔を歪めた。

「また人喰い石にやられたか」

どうやらその石は、地元ではそこそこ有名な代物のようだ。

その近くで遭難した者は、大抵その大石に抱きついて亡くなっているのだと。

それからしばらくは、石は人肌くらいに温かくなっていると聞く。

死んだ人の体温を吸い取ったかのように。


だから人喰い石と呼ばれている。

案内してくれよと話を振ったら、彼は顔を顰めて「行きたくネ」とだけ答えた。


201: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE ID:4cjMA6Jd0
秋、山の中腹、一本だけ真っ赤に染まった紅葉。

見事なその木から、一枚残らず葉をむしる老夫婦がいる。

山といっても彼らの土地だし、そこに生えている木をどう扱おうと文句など言う義理はないが、その行為には、何となく許しがたいものを感じた。

その二人が、その地方で自分が定宿にしている小さな旅館の経営者ともなれば、なおさらだ。


その光景を見たわけではない。

ここへ来る途中、よそで話に聞いただけだ。

何のためにそうしているか、時間の都合で聞けなかった。

見たわけでなくても、宿の玄関先に置かれた米袋の中に紅葉がぎっしり詰め込まれていれば、聞いた話は嘘ではないのだと知れる。

泊り客は俺一人。

今回は二泊する予定だ。

明日あたり、あれ、まこうか。

卓を囲む夕飯時に婆さんがそう言い、爺さんが同意した。

何の話だろう。

好奇心が湧いたが、紅葉の一件で少し不機嫌な俺は、

問いただすこともしなかった。

この宿に泊まるのは今回が最後だと、何となく、そう決めていた。

二人の話は続き、どうやら俺も明日、何かを一緒にまく事になりそうだった。


その何かが玄関先の紅葉だと分かったとき、ついに我慢できず、あれをどうするつもりなのかと尋ねた。

問い詰めるような口調だったかもしれない。

202: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE ID:4cjMA6Jd0
びっくりするぞ。爺さんが言い、婆さんが頷いた。

翌日の午後、のんびりした散歩から戻ると、二人は山へ入る仕度をしていた。

背負子に紅葉の入った米袋がくくり付けられ、爺さんが背負った。


年寄りとは思えない歩度で山を歩く二人。実のところ、ついていくのが精一杯だった。

一時間ほどだろうか。二人が立ち止まり、ここらで良かんべえと言った。


爺さんが背負子をおろし、袋の中から紅葉をつかみ出した。

これをまくのだろうか。見ていると、その一枚一枚を木々の根元に置き始めた。

数メートル四方に一枚、といった具合だった。

真西の方角に置くのだと言われた。

よく分からないまま俺も紅葉をつかみ、同じようにした。


袋が空になると、二人はパンパンを手を二回鳴らし、頭を下げ、山を下り始めた。

見事な夕焼けだった。


翌朝起きてみると、山は秋の色に染まっていた。赤や黄色、といっても色は二種類ではない。

さまざまな黄色、色とりどりの赤。

むらむらと、土地のエネルギーを見せつけるような力強い色だった。


どうだい、いいもんだろ。振り向くと、爺さんが笑っていた。

俺は言葉も出ない。

203: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE ID:4cjMA6Jd0
あれをやらないと、綺麗に染まらねえんだ。


爺さんの右手には一升瓶が握られている。珍しくもない日本酒だった。

聞くと、最初に葉をむしった紅葉に飲ませるのだという。

飲ませるとどうなるのかと聞くと、

酒に酔えば真っ赤になるだろう。


明日だな、明日。そう言ってまた笑った。


その日に俺は帰らねばならず、紅葉に酒を飲ませる光景を見ることは出来なかった。

酒に酔った紅葉が、どんな風に赤くなるのか、爺さんは最後まで口を割らず、いずれ、御縁があれば見られるよ。と言った。


爺さんたちが紅葉をむしる話を聞いた店に立ち寄り、紅葉の酔態を尋ねると、どれに酒を飲ませたか分からなくなるとの事だった。

ありゃ、どうなってんのかねえ、と答えた。


葉を全てむしられた紅葉が、他の木と区別できなくなる。

ぜひ見てみたいが、それ以来、紅葉に酒を飲ませる日に、そこを訪れる縁に恵まれていない。


いずれ、御縁があるよ。

今では、これが爺さんの決まり文句だ。

218: 本当にあった怖い名無し ID:B3VBKZI50
988 :本当にあった怖い名無し :2005/10/31(月) 09:31:38 ID:+iEQ1G1D0
流れ読まずに投下。

昨日雲取山に登ってきた。どうも週末天気悪くて、昨日も予想以上に良くなかった。

雨は降らないまでも山頂にガスがかかって見えない。それでも紅葉は綺麗で十分堪能して下り始めた。


遠くで鹿の鳴き声がしている。二度、三度と悲しく尾を引くような長鳴きが響いた。

と、登山道の先の方で、ミシミシミシ……ドスーンッ! と文字通り大木の倒れる音がした。けっこうでかい音だ。


歩を早めて音のした辺りに急ぎ、谷川を覗き込む。しかし何もない。変わったところは何もなく紅葉したモミジやシデの樹が茂っているだけだった。ふと、水木先生の話を思い出した。


天狗倒し。大木の倒れる音をさせる妖怪だったはずだ。もしかしたら、さっきのがそうだったのかもしれないと何とも言えない懐かしいような、嬉しいような気持ちで下山した。


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